抗HIV薬に対する耐性 Antiretroviral
Resistance

薬剤耐性と交差耐性の機序
▶︎交差耐性およびレナカパビルについて

交差耐性はARTレジメンの変更を計画する際の重要課題

ウイルス抑制効果が不十分なレジメン下でHIVが複製された時、特定の薬剤で選択されたHIVの変異がその薬剤だけでなく、同じクラスの他の薬剤に対しても耐性を付与する場合がある。これは交差耐性と呼ばれている。

この現象は、NRTI、NNRTI、PIおよびINSTIで認められている。

交差耐性が発現する割合と交差耐性がそのクラスの他の薬剤に影響を及ぼす程度は、ARVによって異なる。

  • 第1世代のNNRTIとINSTIには、高度の交差耐性がある。
  • NRTIに交差耐性が生じる可能性は異なるが、ラミブジンとエムトリシタビンには完全な交差耐性がある。
  • PIと第2世代のNNRTIでは、ウイルス学的失敗の間にそのクラスの薬剤に対する多くの薬剤耐性変異が蓄積するため、交差耐性の程度が高くなる。

参考文献

  1. Wensing AM, Calvez V, Ceccherini-Silberstein F, et al. 2019 update of the drug resistance mutations in HIV-1. Top Antivir Med. 2019;27(3):111-121.

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レナカパビル:米国FDAに最近承認された多剤治療歴を有する患者に対する治療薬

多剤治療歴を有する患者に対する新しい治療薬であるレナカパビルは、強力かつ長時間作用型のファースト・イン・クラスのHIVカプシド阻害薬であり、NRTI、NNRTI、INSTIまたはPIに耐性を示すHIV株に対してin vitroで活性を示す。

CAPELLA試験は、多剤治療歴を有する患者を対象とした第II/III相試験で、患者は無作為化コホートまたは非無作為化コホートのいずれかに組み入れられた。ここでは、患者36例を経口レナカパビル+失敗しているレジメンまたはプラセボ+失敗しているレジメンを14日間投与する群に2:1で無作為に割り付けた無作為化コホートについて述べる。患者はその後維持療法期に移行し、レナカパビルの皮下投与と最適化された併用薬の投与レジメンを52週間受けた(ただし、プラセボ群患者は維持療法期開始時にレナカパビルの経口投与を2週間受けた)。

治験責任医師は、レナカパビル経口投与群の88%とプラセボ投与群の17%が、主要評価項目であるDay 15でのHIV-1 RNA量のベースラインからの減少量≧0.5-log10コピー/mLを達成したことを示した(p<0.0001)。さらに、維持療法期のレナカパビル皮下投与群のWeek 26でのFDAのスナップショットアルゴリズムより、患者の81%および89%がそれぞれHIV-1 RNA量<50コピー/mLおよび<200コピー/mLを達成し、患者の19%および11%がそれぞれHIV-1 RNA量≧50コピー/mLおよび≧200コピー/mLとなった。治療薬との関連性がある重篤な有害事象または中止は認められなかった。

参考文献

  1. Segal-Maurer S, Castagana A, Berhe M, et al. Potent antiviral activity of lenacapavir in Phase 2/3 in heavily ART-experienced PWH. CROI 2021. Abstract 127.
  2. Molina JM, Segal-Maurer S, Stellbrink HJ, et al. Efficacy and safety of long-acting subcutaneous lenacapavir in phase 2/3 in heavily treatment-experienced people with HIV: week 26 results (Capella study). IAS 2021. Abstract OALX01LB02.
  3. Segal-Maurer S, DeJesus, E, Stellbrink JH, et al. Capsid Inhibition with Lenacapavir in Multidrug-Resistant HIV-1 Infection. N Engl J Med. 2022;386:1793-1803.

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