抗HIV薬に対する耐性Antiretroviral
Resistance

はじめに

抗HIV薬に対する耐性は、抗レトロウイルス療法(ART)においてHIVの複製を可能にする耐性関連変異によりもたらされる。薬剤耐性は感染時の薬剤耐性HIVの伝播によることもあれば、ウイルス学的抑制が得られていない期間に獲得することもある(通常、服薬アドヒアランスが不十分であることが原因)。ART管理のための指針として薬剤耐性検査が推奨されており、診断時から治療のさまざまな時点において実施する必要がある。

遺伝子型検査により、ARTによる選択圧下でHIVが複製する際に獲得した変異が明らかになる。表現型検査は、抗HIV薬の存在下でウイルスが複製する能力を評価する。表現型検査は(遺伝子型検査よりも)コストが高く、通常、複雑な治療歴のある患者に対してのみ必要とされる。

また、あるクラスの薬剤に対する耐性がそのクラス内の他の薬剤に対する耐性をもたらす場合があり、この現象は交差耐性と呼ばれている。ウイルス学的失敗が認められた患者に対して、抗HIV活性を持つ新しいレジメンを選択するためには、抗HIV薬に対する耐性のパターンを理解することが不可欠である。