レジメンの切り替えおよび簡素化の管理 MANAGING REGIMEN SWITCH &
SIMPLIFICATION
ウイルス学的失敗が認められた患者に対するARVレジメンの構築
耐性検査結果とART治療歴に基づく新たなレジメンの選択の必要性
治療の切り替えの際は、治療歴、耐性プロファイルおよびベースライン特性(ウイルス量、CD4+細胞数など)を考慮しなければならない。
ウイルス学的失敗が認められた患者において、耐性検査結果(ジェノタイプまたはフェノタイプのいずれか)を考慮するとウイルス学的アウトカムが改善することが、複数の試験において示されている。
治療ガイドラインは、ウイルス学的失敗が認められた患者に対する次のレジメンには、完全な活性を有する薬剤を少なくとも2剤、できれば3剤含める必要があると強調している:
- •治療歴のある患者においては、次の(「サルベージ」と呼ばれることもある)レジメンで活性を有する薬剤の数が多いほどウイルス学的抑制率が高いことが、複数の臨床試験により示されている。しかし、ウイルス学的反応率は、サルベージレジメンに活性を有する薬剤が3剤含まれている場合にプラトーに達し、活性を有する薬剤が4剤含まれているレジメンが3剤含まれているレジメンを上回るということはなかった。
- •複数の薬剤クラスに対して耐性を有する場合、次のレジメンには、使用可能であれば新たなクラスの薬剤を含めるべきである。
さらに、ベースラインのCD4+T細胞数が多いこととHIV-RNA量が少ないことは、より良好なウイルス学的反応の予測因子になる。
ART:抗レトロウイルス療法、VF:ウイルス学的失敗
VFが疑われる患者には速やかに耐性検査を実施
ウイルス学的失敗(VF)が認められる患者に対して新たなレジメンを構築する際、最初のステップとして、薬剤耐性検査を実施すべきである。
この検査は、特定の薬剤に対する耐性変異を検出する可能性を高めるために、患者が失敗した抗レトロウイルス療法を受けている間、またはその治療を中止してから4週間以内に実施しなければならない。
一般的に、耐性検査を行うにはHIV-RNA量が1,000コピー/mLを超えていなければならない。HIV-RNA量が1,000コピー/mL以下の場合、ディープシークエンス法を用いたプロウイルスDNA解析が必要となる場合がある。
耐性検査の目的は、累積的な薬剤耐性の程度の評価である。患者の治療歴およびこれまでのすべての耐性検査の結果を評価することも可能である。欧州のガイドラインによると、耐性検査は失敗したレジメンのすべてに関して実施すべきであり、これまでに獲得したすべての耐性変異(archived mutations)に関する過去の検査結果の入手を試みるべきである。
IAS-USAのガイドラインは、US DHHSのガイドラインに非常に類似している。
広範な耐性を示す患者に対するレジメンの選択は耐性プロファイルに依存
EACSのガイドラインを見てレビューする。EACSのガイドラインは、耐性変異が認められた患者に対する基本的な原則について概説しており、DHHSやIAS-USAのガイドラインに記載されている内容と類似している。
基本的な原則は、完全な活性を有する薬剤を2剤以上、可能であれば3剤使用することである。
新たな治療レジメンは、薬剤耐性検査およびこれまでの投与歴に基づいて処方すべきである。
新たなレジメンは、できるだけ中断せずに開始する:
- •多剤耐性HIV感染患者に対する計画的な治療中断により疾患の進行が速くなり、このような中断によって免疫学的およびウイルス学的ベネフィットは得られない。
耐性バリアが高いドルテグラビル、エトラビリン、ダルナビルなどの薬剤が利用できるようになったことで、多剤耐性HIV感染患者に対しても、最大のウイルス学的反応が得られる治療レジメンを、以前よりも処方しやすくなった。
INSTIに対する耐性は、この薬剤クラスの治療を受けたことがない患者ではほとんどみられない:
- •INSTI投与歴があり、ラルテグラビルとエルビテグラビルに耐性を示す患者でも、ドルテグラビル50mg1日2回投与により良好なウイルス学的反応が得られる可能性がある。
第2世代Trofile 検査、またはジェノタイプ指向性検査によりCCR5指向性ウイルスが認められた患者においては、侵入阻害剤のマラビロクが完全な活性を有すると考えられる。二重/混合指向性HIVまたはCXCR4指向性ウイルスに対しては、マラビロクは抗ウイルス活性を示さないと考えられている。
Enfuvirtideはサルベージ治療にはほとんど必要ないが(通常、他に活性を有する3種類の薬剤があるため)、enfuvirtideの投与を受けたことがない患者では、enfuvirtideは完全な活性を有する薬剤とみなすことができる。以前、enfuvirtideの投与を受けている間にウイルス血症が進行した患者では耐性が生じている可能性が高く、enfuvirtideが残存活性を有すると考えることはできない。
新薬の利用可能性を考えると、サルベージ治療にNRTIを使用することに疑問を感じる臨床医もいるかもしれない。これまで、サルベージ治療にNRTIを含めることが一般的であったが、NRTIを含まないサルベージ治療レジメンとNRTIを含むレジメンのウイルス学的失敗率に有意差は認められていない:
- •これらのレジメンの例として、rtv(リトナビル)を併用するプロテアーゼ阻害剤(PI)+インテグラーゼ阻害剤(INSTI)またはrtvを併用するPI+非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)がある。
ウイルスの適応性も考慮すべきである。ウイルスの「適応性」とは、ウイルスが増殖して疾患を引き起こすという本来持っている能力のことである。アドヒアランス不良の患者では、HIVが突然変異して薬剤の効果に耐性を持つようになることがある。一方、服用していた薬剤は新たな耐性ウイルスの「適応性を低下」させる。
選択肢が限られている場合は、治験薬や新薬の使用を検討し、臨床試験への組み入れが支持される。
多くの選択肢が利用可能な場合、好ましい選択肢の基準には次の項目が含まれる:
- •簡便性
- •毒性リスク
- •薬物相互作用の軽減
- •将来サルベージ治療を受ける可能性の検討
3TC:ラミブジン、DTG:ドルテグラビル、ETV:エトラビリン、FI:融合阻害剤、FTC:エムトリシタビン、INSTI:インテグラーゼ阻害剤、NNRTI:非核酸系逆転写酵素阻害剤、NRTI:核酸系(ヌクレオシド)逆転写酵素阻害剤、PI:プロテアーゼ阻害剤、rtv:リトナビル
高度耐性ウイルス感染患者のレジメンを簡素化する新薬の使用
治療を簡素化するために、臨床医は患者の抗レトロウイルス療法治療歴とこれまでの耐性検査結果を確認する必要がある。
マラビロク使用を検討する場合は、最新の指向性検査結果を入手する必要がある。
ウイルス学的抑制が得られていて、ウイルス学的失敗歴のある患者では、確立された治療を変更する際に、患者のこれまでの治療歴や耐性プロファイルに基づいて、活性が高いと予測されるレジメンを選択すべきである。
一般的に、同じクラス内の抗HIV薬への変更は簡単であり、ウイルス学的失敗のリスクは低い:
- •錠剤数の負担を減らすための配合剤や新規の忍容性が良好、あるいは強力な薬剤の使用を検討すべきである。
- •rtv(リトナビル)を併用するPIが含まれるレジメン使用患者には、新しいコビシスタットとPIの配合剤を検討してもよい。
クラス外への切り替えは、慎重に検討しないとリスクが大きくなる可能性がある。これは、耐性バリアが比較的高いレジメン[すなわち、rtv(リトナビル)を併用するプロテアーゼ阻害剤(PI)、ドルテグラビルまたはビクテグラビル]から耐性バリアがより低い別のレジメンに切り替える患者に特に当てはまる:
- •切り替えを評価した多くの試験において、PIベースのレジメンでウイルス学的失敗が認められたことがある患者がPIを中止して耐性バリアがより低い薬剤クラスへ切り替えた場合、ウイルス学的失敗率の増加が示されている。切り替え時にPIを中止する正当な理由があっても、ウイルス学的失敗の経験と薬剤耐性がある患者では慎重に行うべきである。
ARV:抗HIV薬、PI:プロテアーゼ阻害剤、rtv:リトナビル、VF:ウイルス学的失敗
一次治療でVFとなった患者に対する新たなレジメンの選択は一次治療レジメン次第
ガイダンスを提供しているいずれの団体も、耐性変異が認められた場合、新たなレジメンには活性を有する薬剤を少なくとも2剤、可能であれば3剤使用すべきである(過去に使用したクラスの活性を有する薬剤を含む)という意見で一致している:
• EACSのガイドラインでは、すべてのレジメンにおいて、ジェノタイプ検査で評価した十分な活性を有するrtv(リトナビル)を併用するプロテアーゼ阻害剤(PI)を少なくとも1剤と、これまでに使用したことがないクラスの薬剤 1剤[例えば、インテグラーゼ阻害剤(INSTI)、融合阻害剤またはCCR5阻害薬(指向性検査でR5ウイルスのみが認められた場合)]または非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)1剤(例えば、ETV)を使用すべきであると具体的に示している。
現在のDHHS治療ガイドラインによると、ほとんどの未治療患者に対する抗HIV薬レジメンには、核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)1または2剤とINSTI1剤を含めるべきであると記載されている。一次治療として推奨されている現在利用可能なレジメンのほとんどは比較的効果が高いため、ほとんどの患者において良好なウイルス学的反応が期待される。さらに、推奨されているINSTIであるビクテグラビルおよびドルテグラビルは耐性バリアが高く、これらのレジメンに失敗した場合でも耐性はほとんど生じないと考えられる。
ウイルス学的失敗が認められた場合、ウイルス学的失敗時の二次治療レジメンの選択は、一次治療レジメンの種類に基づいて決定する。レジメンを構成する抗HIV薬に対する耐性(または耐性なし)については、ウイルス学的失敗時に実施した耐性検査から確認することができる。
NNRTIベースのレジメンに失敗した患者
ラミブジン(3TC)およびエムトリシタビン(FTC)に対する耐性の有無にかかわらずNNRTIに対して耐性を示すことが多い。これらの患者に対してはいくつかの選択肢があるが、薬物動態学的増強因子としてrtvを併用するPI+NRTIまたはINSTIの有効性を検討したいくつかの試験がある:
- •これらの試験結果に基づき、NRTIに対する耐性を有する患者であっても、薬物動態学的増強因子としてrtvを併用するPI+NRTIまたはラルテグラビル(RAL)を投与できる場合が多い。
- •これらの試験ではLPV/rを用いたが、他の薬物動態学的増強因子を併用するPIも同様に有効であると考えられる。
- •DAWNING試験では、NNRTIベースの一次治療に失敗後、ドルテグラビル(DTG)+NRTI 2剤(そのうち少なくとも1剤は活性を有する)が選択肢となり得ることが示された。
- •rtvを併用するPI+INSTI1剤も二次治療レジメンとして推奨される。LPV/r+RALの有効性は、LPV/r+NRTI 2剤と同等であることが示された。データは限られているが、DTG+rtvを併用するPIも、この状況においては選択肢となり得る。臨床医は、DTG+rtvを併用するPIを女性患者に使用する場合には注意する必要があり、ドルテグラビルの使用を検討する際、妊娠の可能性を考慮しなければならない。
- •IAS-USAは、NNRTIによる治療が失敗した場合はDTG+NRTI 2剤で治療するよう推奨している。WHOのガイドラインもNRTI 2剤+DTGと明記し、同様の推奨をしている。
rtvを併用するPIベースのレジメンを失敗した患者
- •このシナリオでは、ほとんどの患者では耐性が認められないか、認められていても3TCとFTCに限定される。
- •この場合、失敗はアドヒアランス不良、薬物相互作用、または薬物と食物の相互作用に起因することが多い。
- •この場合、耐性検査とともにレジメンへの全体的なアドヒアランスと忍容性の評価を実施すべきである。
- •DHHSのガイドラインは、アドヒアランスに関するサポートを実施しながら同じレジメンを継続すること、または同じNRTIバックボーンを継続しながら他のrtvを併用するPIに変更することを推奨している。残りの1つの選択肢は、この患者をINSTI+NRTI 2剤のレジメンに移行させることである。
INSTI+NRTIのレジメンに失敗した患者
- •一次治療レジメンにRALまたはEVGが含まれていた場合、DTGは現在も活性を有する可能性が高い。
- •RAL+NRTI 2剤またはEVG/コビシスタット/TDF/FTCからなるレジメンでウイルス学的失敗がみられた場合、3TCとFTC、おそらくINSTIに対する治療中に発現した耐性が関係している可能性がある。しかし、INSTI耐性ウイルスは、DTGに対する感受性が残っていることが多い。
- •一方、臨床試験でDTG+NRTI 2剤による一次治療に失敗した患者は、DTGに対するフェノタイプ耐性の発現が示されておらず、アドヒアランスカウンセリングを行うことでDTGベースのレジメンを継続することができる。
- •薬物動態学的増強因子としてrtvを併用するPI+INSTIも、INSTI耐性が認められない患者において実行可能な選択肢であると考えられる。ウイルスはRALおよびEVGに対して耐性を示すが、DTGに対する感受性が残っている場合は、DTGの1日2回投与を薬物動態学的増強因子としてrtvを併用するPI と併用することができる(DHHSおよびIAS-USAのガイドラインが推奨している)。
いずれの場合も、VF時に耐性検査を行うべきである。ほとんどの場合、耐性プロファイルは比較的単純であり、医師による解釈が可能である。複雑な症例の場合は、フェノタイプ耐性検査、ジェノタイプ薬剤耐性の解釈システムの使用、専門家のアドバイスが必要となる。
3TC:ラミブジン、BID:1日2回、DTG:ドルテグラビル、EVG:エルビテグラビル、FTC:エムトリシタビン、INSTI:インテグラーゼ阻害剤、NNRTI:非核酸系逆転写酵素阻害剤、NRTI:核酸系(ヌクレオシド)逆転写酵素阻害剤、PI:プロテアーゼ阻害剤、RAL:ラルテグラビル、rtv:リトナビル、VF:ウイルス学的失敗
NNRTI+NRTI 2剤に失敗後の切り替えRTVを併用するPI vs DTG
ガイドラインでは、患者がウイルス学的失敗(VF)を経験した場合にどのようなレジメンを考慮すべきかについて提案している。臨床試験により、臨床医は、どのような種類のレジメンに切り替えると患者の今後の治療が成功するのか情報を得ることができる。いくつかの例を、このスライドと次の数枚のスライドで取り上げる。
DAWNING試験では、NNRTI+NRTI 2剤による一次治療後にVFが認められた後のDTGまたはLPV/rへの切り替えについて調べた。DAWNING試験は、INSTIおよびPIに対する一次耐性変異がなく、NNRTI+NRTI 2剤の一次治療としてのARTに失敗したHIV感染患者を組み入れた、国際共同非盲検無作為化第IIIb相非劣性試験である。失敗の定義は、HIV-RNA量400コピー/mL以上が2回認められた場合とした。患者をDTG+NRTI 2剤群またはLPV/RTV+NRTI 2剤群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、48週目のFDAスナップショットアルゴリズムによるHIV-1 RNA量50コピー/mL未満とした。
両群の患者は、一次治療としてのARTを中央値でそれぞれ86週間および91週間受けており、21%は試験組み入れ時のウイルス量が100,000コピー/mL超で、32%は米国疾病管理予防センターの病期分類でカテゴリーCであった。
試験組み入れ時に、M184V/I変異は80%超で認められ、2つ以上の主要なNNRTI 耐性関連変異は各群の74%の患者で認められた。
DTG:ドルテグラビル、LPV:ロピナビル、RTV:リトナビル、VF:ウイルス学的失敗
DAWNING試験:ベースライン時のNRTI RAMS にかかわらずDTG+NRTI 2剤による高い奏効率
全体では、ドルテグラビル(DTG)+核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI) 2剤群に無作為に割り付けられた患者の84%が48週目にHIV-RNA量50コピー/mL未満を達成したのに対し、ロピナビル(LPV)/リトナビル(RTV)+NRTI 2剤群では患者の70%であった(治療差13.8%)。
M184V/I変異が認められ、NRTI 2剤のうちの1剤に3TCまたはFTCを用いた場合、ウイルス学的成功を達成した割合はDTG+NRTI 2剤群では85%であったのに対し、LPV/RTV+NRTI 2剤群では72%であった(治療差12.6%)。M184V/I変異が認められなかった場合、ウイルス学的成功を達成した割合はDTG+NRTI 2剤群では80%(41/51例)であったのに対し、LPV/RTV+NRTI 2剤群では62%(37/60例)であった。
K65R変異が認められ、NRTI 2剤のうちの1剤としてテノホビルジソプロキシルフマル酸塩を用いた場合、両群とも高いウイルス学的成功を達成した[DTG+NRTI 2剤群86%に対しLPV/RTC+NRTI 2剤群88%(治療差 -1.8%)]。この部分集団は患者数が少ないことに留意して欲しい。
この試験は国際共同試験であったため、一部のレジメンにジドブジン(ZDV)が含まれていた。1種類以上のTAM存在下でのZDVの使用により、DTG+NRTI 2剤群の86%にウイルス学的成功が認められたのに対し、LPV/RTV+NRTI 2剤群では78%であった(治療差7.3%)。
これらのデータに基づき、DHHS、IAS-USAおよびWHOは、NNRTI+NRTI 2剤に失敗した患者にはDTG+NRTI 2剤を使用するよう推奨している。
3TC:ラミブジン、DTG:ドルテグラビル、FTC:エムトリシタビン、ITT-E:Intent-to-Treat Exposed、 LPV:ロピナビル、RAMS:耐性関連変異、RTV:リトナビル、TAM:チミジンアナログ変異、TDF:テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、VF:ウイルス学的失敗、ZDV:ジドブジン
INSTI耐性が認められる患者に対する治療選択肢
インテグラーゼ阻害剤(INSTI)による一次治療に失敗した場合の治療に関する意思決定の指針となる臨床試験データは限られている。治療戦略を検討する際、再度耐性検査結果を参考にするべきである。
INSTIの薬剤クラスの中で、エルビテグラビル(EVG)とラルテグラビル(RAL)はビクテグラビル(BIC)やドルテグラビル(DTG)よりも耐性バリアが低いと考えられる。EVGまたはRALに対する耐性を持つウイルスは、DTGに対する感受性が残っていることが多い。BICまたはDTG+NRTI 2剤による一次治療後に失敗した患者では、BICやDTGに対するフェノタイプ耐性が生じる可能性は低い。
VIKING 3試験は、INSTI投与後に失敗となった場合のINSTIの使用を評価した試験の1つである。この試験は、多施設共同非盲検単群第III相試験であり、DTG(1日2回投与)とRALを含まない最適化された併用薬の投与レジメン(OBR)の併用が評価された。この試験の主要評価項目は8日目(機能的単剤療法について調査するため)および24週目における抗ウイルス効果であった。治験責任医師は、48週目にも患者を評価した。HIV-1 RNA量500コピー/mL超を示し、スクリーニング時または過去の耐性検査の結果よりRALおよび/またはEVGに対する耐性およびARTで使用されるINSTI以外の2つ以上の薬剤クラスに対する耐性が認められる患者をこの試験に組み入れた。
全体として、DTG 1日2回投与は、24週目に69%の患者において有効性を示し、48週目に56%の患者において有効性を示した。24週目におけるDTGの奏効率の低下が、INSTIに対する耐性の増加とともに認められた:
- •Q148H/K/R変異が認められない患者における奏効率79%
- •Q148変異+二次変異が1つ認められる患者における奏効率58%
- •Q148変異+二次変異が2つ以上認められる患者における奏効率24%
現在、INSTIを失敗した場合のBIC使用に関する臨床試験データはない。In vitroのデータでは、BICはINSTIベースのレジメンに失敗した多剤耐性ウイルス感染患者から分離されたほとんどの株に対して活性を保持していることが示された。