2023年10月23日
COVID-19はHIV感染者の心血管疾患リスクを高める
COVID-19 raises the risk of cardiovascular disease in people with HIV
スペインの研究より、COVID-19と診断されたHIV感染者は、他のHIV感染者と比較して、翌年の主要心血管イベントの発生リスクが35%高いことが明らかとなった。
この知見は、ポーランドのワルシャワで開催されたEACS 2023で発表された。
一般集団を対象としたいくつかの大規模試験において、COVID-19と診断された患者は、他の集団と比較して、心臓発作などの主要心血管イベントが発生するリスクが高いことが報告されている。しかし、HIV感染者がCOVID-19と診断された後の新たな心血管イベントリスクに関する研究は、これまで実施されていなかった。
Raquel Martin Iguacel博士と同僚らは、2020年3月~2022年7月までのPISIS HIVコホートデータベースにおけるCOVID-19の診断と、スペイン自治州Cataloniaの医療サービス利用に関するデータをまとめたPADRISデータベースにおける心血管イベントを調べた。
この解析では、COVID-19と診断されたHIV感染者4,199名とCOVID-19と診断されていないHIV感染者14,004名を同定した。この研究対象集団は大部分が男性(82%)で、年齢中央値はCOVID群45歳、非COVID群48歳であった。約3%がCD4数200未満(重度のCOVID-19アウトカムのリスク因子)であった。
COVID-19と診断された患者のうち7%が入院し、25名が集中治療を受けた。
追跡期間中央値243日の間に、COVID群211名および非COVID群621名に心血管イベントが発生し、発生率はそれぞれ1,000人年当たり70.2および56.8であった。
人口統計学的因子、HIV関連因子、COVID-19およびCOVID-19関連併存疾患で調整した多変量解析では、COVIDの診断は心血管イベントリスクが35%増加することと関連していた。
リスクの差は、次の3つの心血管疾患で大きかった:血栓症(血液凝固による障害)、心不全(心機能の低下により十分な血液を送り出すことができない)、動脈瘤(血管が風船のように膨らみ、突然破裂することがある)などのその他の心疾患。COVID-19と診断されたHIV感染者の心臓発作や脳卒中の発生率は高くなかった。
研究者らは、COVID-19と診断されたHIV感染者では、COVID-19による入院に至らなかったとしても、COVID-19から回復した患者の心血管系の健康状態を注視すべきであると結論付けている。HIV感染者へのCOVID-19のワクチン接種、かつ追加接種の継続は、すでに心疾患リスクが高い集団にとって重要である。
関連サイト
- Read this news story in full on aidsmap.com
- View the abstract on the conference website
- Visit our conference news pages for all our EACS 2023 coverage
本記事は日本国外の治療に関するニュースであり、本邦では承認されていない薬剤あるいは本邦とは異なる効能・効果、用法・用量で使用されている成績が含まれていますので、ご注意下さい。
記載されている医薬品のご使用にあたっては、必ず各薬剤の製品添付文書をご参照下さい。
This material is based on an original copyright publication by NAM Publications, an independent HIV information charity based in the UK. Permission for this adaptation has been granted by NAM. The original publication can be viewed at www.aidsmap.com. NAM cannot be held responsible for the accuracy of the adaptation nor the local relevance of the text.
当コンテンツは、英国を本拠地とするHIV情報の慈善団体であるNAM Publicationsの著作権に基づいて制作し、許諾を得て掲載しています。 記事原文については、www.aidsmap.comでご覧頂くことができます。なお、その情報の正確性、適用性、完全性については、NAMは一切責任を負いません。