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2023年10月30日

PD-1阻害薬budigalimabは、ウイルスのリバウンドを遅らせる可能性がある
PD-1 inhibitor budigalimab may delay viral rebound

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Wongsakorn Napaeng/Shutterstock.com.

EACS2023で発表された小規模パイロット試験によると、免疫細胞上のPD-1受容体を遮断するモノクローナル抗体であるbudigalimabは、抗レトロウイルス療法(ART)を中断した人の大多数において、HIVのリバウンドを遅らせることやウイルス量を低く維持することと関連していた。

PD-1は、疲弊した免疫細胞上の免疫チェックポイント受容体である。正常な状態では、T細胞の活動を抑制し、免疫系が体内組織を攻撃するのを防いでいる。腫瘍にはPD-1を乗っ取り、悪性細胞に対する免疫応答を止めることができるものがある。同様に、HIV感染者は通常、PD-1の発現が亢進しT細胞応答が弱まっている。

PD-1を遮断するチェックポイント阻害薬は、T細胞の活動を回復させることができ、PD-1阻害薬はがん免疫療法で広く使われている。モントリオールのMcGill University Health CentreのJean-Pierre Routy教授は、理論的にはHIV感染者においてもPD-1阻害薬でT細胞の疲弊を回復させ、免疫機能を回復させることが可能であり、また、ウイルスを細胞から押し出す潜伏感染再活性化薬として働く可能性もあると会議で述べた。

Budigalimabは、寛解あるいは機能的治癒とも呼ばれる、ARTなしでHIVをコントロールする方法の1つとして研究されているPD-1阻害薬である。Routy氏は、米国とカナダで実施された2つの小規模試験の結果を発表した。

最初の試験では、ARTでウイルスが抑制されている32名を対象に、治療の中断なしにbudigalimabの単回静脈内(IV)注射(10 mg)または皮下注射(10~20 mg)の安全性と薬物動態が評価された。

2番目の試験では、慎重に監視される分析的治療の中断が組み入れられた。この試験には、ARTによる治療を受けていてウイルス量が検出不能な41名が登録された。第1段階では、20名の参加者が4週間間隔でbudigalimab 2 mgまたは10 mgのIV注射による投与を2回受け、5名はプラセボの投与を受けた。参加者は4週間 ARTを継続し、2回目の投与時にARTを中断する予定だったが、2名は中断を取りやめた。

第2段階では、11名がbudigalimab 10 mgの2週間間隔で4回投与され、5名がプラセボを投与された。初回投与時に、全員がARTを中断した。このグループが探索的有効性解析の焦点となった。

参加者は、ウイルス量が4週間1,000以上に達した場合、CD4数が350未満に低下した場合、またはCD数のベースラインから30%以上減少した場合、HIV関連症状を経験した場合、妊娠した場合にARTを再開した。参加者や試験担当医師は、いつでもARTの再開を決断できた。

両試験の結果から、budigalimabは概して安全で忍容性も良好であった。

ウイルスのリバウンドまでの時間の中央値は、budigalimab群29日、プラセボ群21日であった。第2段階を完了したbudigalimab投与者9名中6名は、良好なレスポンダーと考えられた。リバウンド後のウイルス量のピークは、budigalimab群で約10,000であったのに対して、プラセボ群では約100,000であった。

Budigalimabを4回投与された11名のうち2名は、ARTなしでウイルス抑制を1年半維持した。

これらの知見に基づき、研究者らはbudigalimabのさらなる研究が必要であると結論付けている。

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