抗HIV薬療法の概要 OVERVIEW OF ANTIRETROVIRAL
THERAPY
まとめ
当プログラムをまとめると、ARTレジメンは、HIVの生活環の各段階を標的として、HIVの複製を阻害する。利用可能であるさまざまな薬剤クラスについて、段階を追って説明した。
また、抗HIV薬は、忍容性が不良で多くの錠剤を服用しなければならない初期の毒性の高いレジメンから、現在の忍容性が高く、ほとんどの場合1日1回1錠または少数の錠剤を服用すればよい一次治療レジメンに進化してきたことを示した。
米国、世界保健機関、欧州および英国のガイドラインなど、さまざまなガイドラインを示し、各ガイドラインがすべてのHIV感染者に対してARTを推奨しており、また、すべてのガイドラインが一次治療レジメンとして特定のレジメンを推奨していることを示した。
各患者に対するARTを検討する場合、患者ごとにレジメンを個別化すべきであり、その後は毒性、好み、薬物相互作用に基づく変更が可能であるが、レジメンの変更は、患者がいったんウイルス学的抑制を達成してから行うべきであり、それが非常に重要だと考えられる。あるレジメンが失敗している可能性のある患者では、このような切り替えを行うべきではない。ウイルス学的抑制を確認しなければならない。
最後に、ARTレジメンの有効性において極めて重要なのは、抗HIV薬へのアドヒアランスである。患者のレジメンへのアドヒアランスが不良の場合、治療濃度を下回るリスク、耐性ができるリスクのためにそのレジメンが失敗する可能性があり、別の薬剤クラスへ切り替えたり、おそらくより多くの錠剤を服用しなければならなくなるため、アドヒアランスについて患者と話し合わなければならない。アドヒアランスは重要であり、治療中も患者とともに取り組み続ける必要がある。