HIV伝播のメカニズム Mechanisms of
HIV Transmission

注射針の共有と注射薬物使用による伝播

  • IDUは米国では男女ともにHIV伝播のリスク要因である
  • IDU関連のHIV感染と人種・民族による格差
  • 注射器交換プログラムは伝播率の低減に有効である
  • メタンフェタミンの使用によりHIVの伝播につながるリスク行動が増加する

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IDUは米国では男女ともにHIV伝播のリスク要因である

米国では、注射薬物使用がHIV感染の主な原因の一つとなっている。伝播を抑制するための最も安全で効果的な方法は、清潔な針と注射器を使用することである。デッドボリュームの少ない注射器を使用することも、伝播の可能性を減少させる可能性がある。女性では、注射薬物使用による感染が全体の約16%を占めている。

IDU:注射薬物使用(者)

参考文献

  1. Centers for Disease Control and Prevention. Estimated HIV incidence and prevalence in the United States, 2018–2022. HIV Surveillance Supplemental Report 2024;29(No.1). https://www.cdc.gov/hiv-data/nhss/estimated-hiv-incidence-and-prevalence.html. Published May 2024. Accessed January 30, 2025.

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IDU関連のHIV感染と人種・民族による格差

2020年、成人および青年における注射薬物使用による新規HIV感染の大半は、白人男性(45%)と白人女性(49.2%)であった。注射薬物使用によるHIV感染と診断された女性のうち、白人女性の数は黒人/アフリカ系アメリカ人女性(250例)の約1.7倍、ヒスパニック/ラテン系女性(136例)の約3倍であった。

IDU:注射薬物使用(者)

参考文献

  1. Centers for Disease Control and Prevention. HIV Surveillance Report, 2020; vol. 33. http://www.cdc.gov/hiv/library/reports/hiv-surveillance.html. Published May 2022. Accessed January 29, 2023.

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注射器交換プログラムは伝播率の低減に有効である1,2

注射器交換プログラム(SEP)は、HIV、HCV、HBV、その他の血液媒介性感染症の伝播を減らすために、滅菌済み注射針と注射器を無料で提供し、注射薬物使用者から使用済みの注射器を回収するプログラムである1。ここに示した地図では、SEPが利用できる州を濃い紫色で示している。州全体で利用できるとは限らないが、州内に利用できる場所が少なくとも1ヵ所はあることに留意する必要がある。

また、ほとんどのSEPは予防医療や臨床サービスも提供している。注射薬物使用者に対して包括的な予防医療サービスと医療および/または薬物依存症治療の紹介を提供することで、医療や物質使用障害の治療へのアクセスを向上させることができる2

参考文献

  1. North American Syringe Exchange Network. Available at https://nasen.org/directory. Accessed January 29, 2023.
  2. US Centers for Disease Control and Prevention. Syringe exchange programs---United States, 2008.MMWR. 2010 Nov 19;59(45):1488-91. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21085091/

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メタンフェタミンの使用によりHIVの伝播につながるリスク行動が増加する

娯楽目的で結晶メタンフェタミンを(さまざまな摂取経路で)使用している人は、HIVに感染するリスクが上昇する。一般的に、アンフェタミン使用者は、HIV伝播のリスク因子として知られているいくつかの行動(性的パートナーの数が多い、コンドームの使用が少ない、金銭や薬物目的の性交渉、IDUとの性交渉および/またはSTDの既往など)がみられることが報告されている。さらに、HIV感染状態が不明のパートナーとコンドームを用いない肛門性交や膣性交を行っている可能性が高い。

これは、メタンフェタミン使用と性的リスク行動を減らすことを目的とした米国の試験に参加しているメタンフェタミン使用の男性間性交渉者 286例を対象に行われた研究でも確認された。この研究では、ベースライン時に参加者の40.2%(115例)がHIV陽性であった。9ヵ月間の研究期間中、ベースラインにHIV陰性であった参加者のうち3例で抗HIV抗体が陽性となった(発生率:2.6例/100人年)2。ベースライン時の検査では、77例がSTD(クラミジア症21例、淋病18例、梅毒38例)と診断され、9ヵ月間の追跡調査期間中に新たに71例がSTD(クラミジア症22例、淋病24例、梅毒25例)と診断された。このうちの78%はHIV感染者であった2

IDU:注射薬物使用(者)、STD:性感染症

参考文献

  1. Centers for Disease Control and Prevention. Methamphetamine use and risk for HIV/AIDS. September 2006. Available at: https://stacks.cdc.gov/view/cdc/11778/cdc_11778_DS1.pdf. Accessed May 14, 2021.
  2. Reback CJ, Fletcher JB. Elevated HIV and STI Prevalence and Incidence among Methamphetamine-using Men who Have Sex with Men in Los Angeles County. AIDS Educ Prev. 2018;30(4):350-356.

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