2023年02月22日
DoxyPEP試験における淋菌の耐性は限られていた
Limited gonorrhoea resistance in doxyPEP study
細菌性性感染症(STI)である淋病、クラミジア、梅毒の予防に抗生物質であるドキシサイクリンを使用すること(doxyPEP)が、特に淋病において薬剤耐性が広がる可能性があるのではないかという懸念が生じている。
しかし、米国のdoxyPEP試験の参加者にみられた淋菌の耐性についての解析結果は、ドキシサイクリンや他の同クラスの薬剤に対する耐性は珍しくないものの、顕著な耐性を示す淋菌感染の割合の増加はわずかであり、doxyPEP服用者と非服用者の間で、耐性率にほとんど差がなかったことを示している。doxyPEP試験の主要な結果は 昨年発表された。
この試験では、ドキシサイクリンは、同性愛や両性愛の男性、トランスジェンダーの女性が、細菌性STIの感染率を3ヵ月間において減少させた。HIV陰性者の有効性は、クラミジアに対して88%、梅毒に対して87%、HIV感染者では77%と74%であった。
淋病に対する有効性は、非HIV感染者では55%、HIV感染者で57%であった。これは、薬剤耐性が原因であると考えられた-流行している淋菌株に既にあったか、あるいはPEPの使用により発生したかのどちらかであると考えられる。
DoxyPEPチームのAnnie Luetkemeyer教授は、抗生物質をPEPとして使用することで、同類の細菌の耐性を引き起こす懸念もあったと述べた。彼女のチームは、淋病の細菌であるNeisseria gonorrhoeae、Staphylococcus aureus 、Staphylococcus aureusの多剤耐性変異株であるMRSA、喉にもともと生息しているNeisseriaの非病原性の種について、耐性の証拠を得るために検査した。
培養に成功したのは少数の標本のみであったため、結果の統計的有意性は限られたものとなっている。ベースラインの淋菌標本のうち4例は、ドキシサイクリンに対して耐性があった。追跡調査中では、耐性のあった標本がPEP非投与者で2例、PEP投与者で6例あった。この差は統計的に有意ではなかったが、PEPを服用していると、耐性が増加し始めることを示す可能性がある。
鼻や喉にStaphylococcus aureusが生息している人の割合は、ベースラインの44%から、PEP投与の場合には30%まで減少した。しかし、S. aureusの標本中の耐性の割合は、PEP投与者では5%から13%に有意に増加した。
「抗微生物薬耐性データのあったdoxyPEP参加者のこのサブセットでは、ドキシサイクリン耐性の顕著な増加はなかった」と、Luetkemeyer教授は結論付けた。しかし、淋菌における薬剤耐性の程度と重要性を測るには、より広いコミュニティーでdoxyPEP実施中のより長期のモニタリングが必要である。
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