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2023年07月27日

治療経験のないHIV感染者においてドラビリンとイスラトラビルの併用はビクタルビと同等の有効性
Doravirine/islatravir just as effective as Biktarvy in previously untreated people

写真
Professor Jürgen Rockstroh at IAS 2023. Photo by Roger Pebody.

NNRTIであるドラビリンと開発中の抗レトロウイルス薬のイスラトラビルとの併用は、 治療開始後48週目のHIV抑制効果が、ビクテグラビル・エムトラシタビン・テノホビルアラフェナミドフマル酸塩の配合薬(ビクタルビ)と同程度であったと、ボン大学のJürgen Rockstroh教授がIAS2023で報告した。

イスラトラビルは、核酸系逆転写酵素阻害剤 (NRTTI)と呼ばれる新しいクラスの最初の抗レトロウイルス薬である。本剤は、他の抗レトロウイルス薬よりもかなり長く細胞内に留まり、開発初期には高用量の週1回投与が複数の試験で検討された。しかし、臨床試験で高用量の投与を受けた被験者に白血球数減少の発現が判明後、2021年に開発は中断された。この事象は用量に関連していたため、イスラトラビルの開発は低用量で再開された。

1日用量として0.25mg、0.75mg、2.25mgを比較した第Ⅱb相用量決定試験では、ドラビリンと併用した場合のウイルス抑制率は0.75mgと0.25mgでは同程度という結果が得られた。 当初は大規模な第Ⅲ相試験に対して0.75mgを採用しようとしたが、上記の開発中断後、イスラトラビルの開発会社であるメルク社は、0.25 mgを重視するという決定をした。

今週、Rockstroh教授は、イスラトラビル0.75 mgとドラビリンの併用を検討した第Ⅲ相試験の結果を発表した。本試験への被験者の組み入れは、イスラトラビルの開発が中断された時点でほぼ完了していた。

本試験の対象被験者は、抗レトロウイルス療法の治療経験がなく、ウイルス量が500を超える成人HIV感染者であった。B型肝炎や他の主要な薬剤耐性変異が認められる人たちは除外された。13カ国で597名が組み入れられた(ヨーロッパ32%、北米22%、ラテンアメリカ23%、南アフリカ18%)。

被験者の多くが男性で(各投与群で約75%)、半数強(57%)が白人であった。CD4数は、20%で200以下であった。ベースラインのウイルス量は、ドラビリン/イスラトラビル併用群18%およびビクテグラビル投与群20%で100,000以上であった。

被験者は、ドラビリン100 mgとイスラトラビル0.75 mg1日1回併用投与群、あるいは、ビクテグラビル・エムトリシタビン・テノホビルアラフェナミドフマル酸塩の配合剤(ビクタルビ)1日1回投与群のいずれかにランダムに割り付けられた。

第48週時点で、ウイルス抑制に有意差は認められず、各投与群の88%でウイルス量が50を下回った。グレード3または4の毒性についても有意差は認められず(10%対11%)、薬剤関連の有害事象のために脱落した被験者は2名のみであった(両名ともビクテグラビル投与群)。

現在、ドラビリンと低用量イスラトラビル(0.25 mg)の併用投与をビクタルビと比較する第Ⅲ相試験が進行中である。

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