2023年08月02日
オミクロン期もHIV感染者は依然としてCOVID-19による死亡リスクは高い
People with HIV remain at higher risk of dying from COVID-19 in the Omicron era
世界保健機関(WHO)は、オミクロン変異株の出現以来、HIV感染者のCOVID-19による死亡は他の集団と比較して 死亡者数の減少が大幅に鈍化しているとIAS 2023で報告した。ある研究では、COVID-19で入院したHIV感染者の5名中1名がオミクロン株の流行中に死亡したのに対し、HIV非感染者では10名中1名であった。
SARS-CoV-2のオミクロン変異株は2021年後半に出現し、COVID-19による入院のほとんどすべての原因株として他の変異株に置き換わった。それ以前の変異株よりも感染性は高いものの、オミクロン株は先行したデルタ株よりも重症化リスクが低いことが明らかとなった。
しかし、HIV感染者ではオミクロン株による重症化の程度が依然として高いという兆しがあった。2022年5月までの期間を対象とした前回のWHOの分析では、南アフリカでは、HIV感染者は他の集団よりもオミクロン株の流行による死亡リスクが高いことが分かった。
この点についてさらに調査するため、WHOは38ヵ国でCOVID-19により入院した821,331名のデータを解析した。2020年のデルタ株流行前、2020~2021年のデルタ株流行時、2021年後半~2022年前半のオミクロン株流行時のパンデミック3期の間にHIVに感染した状態での入院後の転帰を比較した。HIV感染者で報告された症例は、5%をわずかに上回る程度であった(43,699名)。HIV感染者のデータの約90%は南アフリカのデータであった。研究者らは、結果が世界中の地域で一貫しているか否かについては報告しなかった。
全体として、HIV非感染者の19%およびHIV感染者の23%が入院後に死亡した。HIV非感染者の死亡率はパンデミックの各段階で着実に低下し、デルタ期前の22%からデルタ期の20.9%およびオミクロン期の9.8%に低下した。
しかし、HIV感染者ではその減少はわずかであった。HIV感染者の死亡率はデルタ期前24.2%、デルタ期23.4%、オミクロン期19.6%であった。
ワクチン接種により、デルタ期の入院後死亡率は39%低下、オミクロン期は38%低下した。
「これらの所見は、SARS-CoV-2変異株の流行による重症化率および発症率が低い時期でも、WHOがHIV感染者全員に対して追加ワクチン接種を推奨する必要性を強調している」と結論付けた。
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