2023年08月02日
インテグラーゼ阻害剤は、体重増加に関係なく糖尿病のリスクを高める
Integrase inhibitors raise the risk of diabetes regardless of weight gain
インテグラーゼ阻害剤(INSTI)は体重増加の程度に関わらず、2型糖尿病の発症リスクを高めることが、大規模国際コホート研究によって明らかになった。
Kirby Institute, University of New South Walesの疫学者である Dhanushi Rupasinghe氏は、RESPONDコホート研究のHIV感染者を対象として抗レトロウイルス治療中の体重増加と糖尿病リスクとの関係の解析結果をIAS 2023で発表した。
RESPOND研究では、ヨーロッパおよびオーストラリアで治療を受けているHIV感染者の19コホートのデータを統合した。 本研究の対象者は20,865名で、追跡調査期間の中央値は4.8年であった。
追跡期間中、参加者の4%が糖尿病を発症した。糖尿病の定義は、血糖値11.1 mmol/L以上、あるいはHbA1c6.5%または48 mmol/L以上、または糖尿病治療薬使用のいずれかであるとした。発症率は、追跡期間1,000人年あたり7.8名であった。
2型糖尿病の発症リスクの増加には4つの要因が関係していた。INSTI服用者は、本剤以外の抗レトロウイルス薬の服用者に比べて、糖尿病発症リスクが48%高かった。黒人およびその他の人種は、白人に比べて、糖尿病発症リスクが約80%高かった。高血圧やCD4低値が認められる者も、糖尿病を発症しやすい傾向にあった。
体格指数(BMI)は糖尿病と強く関連しており、この関連性は(一般集団と同様に)肥満者でより顕著となったが、INSTIの服用に伴う糖尿病リスクの増加は、体重とは無関係であった。
INSTIは糖尿病のリスクを高めたが、追加症例の絶対数は少なかった。INSTIを服用した結果として、追跡調査期間1,000人年ごとに、3名が糖尿病を発症すると推定された。本研究の研究者らは、INSTI服用時に糖尿病リスクを上昇させる機序を解明するには、さらなる研究が必要であると結論付けた。
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