南アフリカでは注射薬物使用者のHIV発生率が非常に高い
Very high HIV incidence among people who inject drugs in South Africa

IAS 2023でUniversity of BristolのAdelina Artenie博士が発表した、南アフリカでハームリダクションサービスを求めた人の標本に基づいた研究によると、注射薬物使用者の14％近くはHIVに感染していた。

世界最大のHIV蔓延国であるにもかかわらず、南アフリカでは、注射薬物使用者の新規HIV感染者数（発生率）が測定されたことがなかった。最近の調査で、高所得国での発生率は0.9％であるのに対し、低中所得国では3.2％であることが分かった。

南アフリカでは、注射薬物使用者がHIVに感染している割合（罹患率）は18％と推定される。注射針・注射器プログラムの形で実施されているハームリダクションサービスは、2015年に利用可能になった。オピオイド代替療法は2017年から利用可能になったが、現在、必要な人の5％未満しか受けていないと推定される。

この研究では、2019～2022年に南アフリカの4つの州（Gauteng、KwaZulu-Natal、Eastern Cape、Western Cape）のハームリダクションサービスから収集したプログラムに関するデータを使用し、注射薬物使用者における新規HIV感染者数を推定した。

このコホートの31,873名の大部分は、HIVに感染していることが分かっていた、HIV検査を受けていなかった、または、1回しか検査を受けていなかったために解析から除外された。当初HIV陰性だった2,457名の標本を対象にHIV発生率が算出された。この標本の大部分はGauteng 州出身（57％）、男性（90％）、黒人（72％）、年齢中央値は30歳（77％が35歳以下）、住居がないか不安定（63％）、ヘロイン使用者（97％）であった。

オピオイド代替療法を受けたことのある人は非常に少なく、Eastern Cape州はゼロ、Johannesburgは0.5％、Western Cape州は6.4％であった。

2,190人年の間に合計300名がHIVに感染し、HIV発生率は13.7％となった。HIV感染リスクは州によって異なり、Gauteng州の発生率が最も高く（19％）、次がKwaZulu-Natal州（17％）であった。発生率は、Eastern Cape州（6.3％）やWestern Cape州（3.4％）の方が低かった。若年齢群は、35歳を超える年齢群より発生率が高い傾向があった。

オピオイド代替療法を受けたことがある人、また、より多くのハームリダクション一式を受けた人ほど、HIV感染のリスクは低下していた。HIV検査後にオピオイド代替療法を受けた人は、代替療法を受けたことがない人に比べて、HIV感染の可能性が62％減少した。

Artenie氏は、注射針・注射器プログラムやオピオイド代替療法などのサービスがこの発生率を減少させる可能性があることを指摘した。この研究は、これらのサービスのための資金を増やすことが緊急に必要であることを明確に示している。

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