2023年07月27日
小児を対象とした HIVの二次治療が多様化
More options for second-line HIV treatment for children
Children with HIV in Africa – Pharmacokinetics and Acceptability of Simple second-line ART(CHAPAS-4)研究の結果が、Makere Universityの Victor Musiime 博士によってIAS 2023 で発表された。
HIV 感染児にとって、現在の二次治療の選択肢は非常に限られている。追加投与用のロピナビル/リトナビルは 1 日 2 回の服用であるが、小児におけるテノホビルアラフェナミド(TAF)に関するデータはほとんどない。
CHAPAS-4 研究は、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエの 6 ヵ所の試験施設で行われた。参加者は3~15歳までの919名(男児497名、女児422名)で、年齢中央値は10歳であった。この群の栄養失調の割合はそれほど多くはなかった。
平均 CD4 数は 669、平均ウイルス量は 17,573 であった。ほとんどの小児は、NNRTI による一次治療を約 6 年間受けていた。
小児は次の 2 つの バックボーンとなるNRTI治療薬のいずれかに無作為に割り付けられた。
- TAF/エムトリシタビン、1日1回投与
- ラミブジンとアバカビルまたはジドブジンのいずれか一次治療として使用しなかった方を併用する現在の標準療法
ほぼ全員(910 名)が次の 4 種類のアンカードラッグのいずれかに無作為に割り付けられた。
- ドルテグラビル
- ダルナビル/リトナビル
- アタザナビル/リトナビル
- ロピナビル/リトナビル(標準治療)
ウイルス量抑制は 400 未満と定義されたが、すべての試験群で 80% 以上と高いままであった。この研究では、次の 5 つの重要ポイントが分かった。
- 標準治療(アバカビル/ラミブジンまたはジドブジン/ラミブジン)と比較して、TAF/エムトリシタビンでは小児のウイルス抑制が良好であった(89%対83%)。
- ドルテグラビルは、ロピナビル/リトナビルおよびアタザナビル/リトナビルと比較して、アンカードラッグとして優れていた(92%対83%)。
- アタザナビル/リトナビルは、ロピナビル/リトナビルと同様の結果を示した(84% 対 81%)。
- ダルナビル/リトナビルはアタザナビル/リトナビルおよびロピナビル/リトナビルよりも優れている傾向が認められた(88%対83%)。
- ドルテグラビルまたはTAFでは体重増加の問題はなかったが、ロピナビル/リトナビルを投与した小児では体重増加が少なく、脂質プロファイルも最低であった。
CHAPAS-4試験は、小児の二次治療としてドルテグラビルを推奨する世界保健機関(WHO)のガイドラインを裏付けるものとなった。
この結果は、TAFとエムトリシタビンにアンカードラッグとしてドルテグラビルを加えた小児に優しい固定用量の併用療法を開発する必要性を浮き彫りにしている。あるいは、ダルナビル/リトナビルまたはアタザナビル/リトナビルをアンカードラッグとして使用することも可能である。
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