2023年07月28日
注射薬物使用HIV感染者ではCOVID-19ワクチンの有効性が低下
COVID-19 vaccine effectiveness lower in people with HIV who inject drugs
カナダのBritish Columbia州で実施され、IAS 2023で発表された研究によると、注射薬物使用HIV感染者では、COVID-19ワクチンの有効性が低下しているようである。
本研究では、注射薬物使用歴のあるHIV感染者は、ワクチン接種後にSARS-CoV-2陽性となるリスクが高くなっており、ワクチン接種を受けたその他のHIV感染者やHIV非感染者よりも早く陽性となったことが分かった。
研究者らは、British Columbia州のSARS-CoV-2検査について収集されたデータを使用し、2020年12月~2021年12月までにSARS-CoV-2検査を受けた19歳以上のHIV感染者を特定した。この研究では、2,700 名の HIV 感染者と375,043名のHIV陰性者をマッチさせた。HIV感染者の40%に注射薬物使用歴があったのに対し、HIV 陰性者では4%であった。研究期間中、HIV感染者351名とHIV陰性者103,049名が検査でSARS-CoV-2陽性と判定された。
研究者らは、ワクチンの接種回数と2回目の接種からSARS-CoV-2陽性となるまでの間隔に従って、ワクチンの有効性を評価した。HIV感染者におけるワクチンの有効性(陽性になるリスクの減少)は、注射薬物使用歴のある人で65%、薬物使用歴のない人では80%であった。
注射薬物使用歴のないHIV感染者では、2回目の接種から119日後まで、ワクチンの有効性は80%を超えたままであった。注射薬物使用歴のある人では、2回目の接種から119日後まで、ワクチンの有効性は約65%のままであった。両群ともワクチンの有効性は120日を過ぎると低下し、注射薬物使用歴のない人で64%、注射薬物使用歴のある人では42%になった。
本研究では、この群ではワクチン接種の有効性が低下していること、注射薬物使用者は他のHIV感染者よりも早めにブースター接種が必要である可能性を示唆していると述べているが、本研究の標本の大きさが比較的小さかったことに注意を促している。研究者らは、注射薬物使用者の併存疾患の負荷によって、有効性の減少が説明できる可能性があることを示唆している。
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