2022年02月17日
心臓発作率は低下してきているが、HIV感染者では低下していない
Heart attack rates are declining, but not in people with HIV
CROI 2022で発表された研究によると、米国の2つの都市のHIV感染者は、HIV陰性の人に比べて、心筋梗塞または心臓発作のリスクが60%高く、格差は徐々に広がっていた。これらの結果は、心血管疾患を管理するために現在行われているモニタリングと介入の必要性を明確に示している。
以前の研究で、HIV感染者はHIV陰性の人より心血管イベントのリスクが高いことが示されていたが、HIV集団は高齢化しつつあり、異なる抗レトロウイルス薬を使用し、CD4細胞数が低くなり、HIVが十分に抑制されている可能性が高いため、リスクは変化している可能性がある。
これを調査するため、研究者らは、San FranciscoとBostonを対象とする米国の2つの大規模な医療システムのHIV陽性者とHIV陰性者を2005~2009年と2010~2017年に調査した。
解析には9,401名のHIV陽性者が組み入れられ、それぞれを人口統計学的プロファイルと心血管リスクプロファイルが似ているHIV陰性の3~4名にマッチさせた。参加者の90%近くが男性で、これらの都市のHIV集団を反映していた。
初めの期間では、5年間にわたる心臓発作の累積発生率は、HIV陽性群とHIV陰性群で同じで、どちらも1.1%であった。しかし、後の期間ではこの率が分岐し、HIV陽性群では1.2%に上昇し、HIV陰性群では0.9%に低下した。人口統計学的特性と心血管リスク因子について調整後の心臓発作のリスクは、HIV感染者はHIV陰性群に比べて60%高かった。
この差の大部分は、HIV陽性群のリスク増加よりも、むしろHIV陰性群のリスク減少によって引き起こされているように見えた。本研究の研究者らは、HIV感染者では、HIVに特異的な要因、例えば、長い感染期間や新しい抗レトロウイルス薬の使用が、HIV陰性群で見られるのと同じ改善の実現を妨げていた可能性を示唆した。
例えば、インテグラーゼ阻害薬は体重増加と関連し、テノホビルアラフェナミドは、それより古いテノホビルジソプロキシルフマル酸塩とは異なり、血中脂質の上昇と関連している。
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