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2022年02月18日

HIV感染の小児に経口剤の代わりに抗体療法を使用することは可能か?
Could antibody therapy be used instead of pills for children with HIV?

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Dr Roger Shapiro at CROI 2022.

CROI 2022で発表されたある研究において、2種類の広域中和抗体(bNAb)の併用療法により、HIVに感染して生まれた小児グループの約半数で、検出限界値未満のウイルス量を6ヵ月間にわたり維持することが可能であった。

Harvard Medical SchoolのRoger Shapiro博士は、米国とボツワナの研究機関による共同試験を実施した。試験には、ボツワナでHIVに感染して生まれた小児28名が登録され、全員が生後7日以内に抗レトロウイルス療法(ART)を開始した。小児の年齢は2~6歳であった。

試験中、小児らはVRC01LSおよび10-1074と呼ばれる2種類のbNAbの併用療法を受けた。最初にARTと併用し、その後、検出限界値未満のウイルス量が引き続き認められる場合には、ARTを併用しなかった-この時点で25名の小児が組み入れられていた。抗体は4週間ごとに静脈内注入した。

25名中10名の小児は、24週間の試験期間中わたってウイルス量40未満を維持した。別の1名の小児は、ウイルス量400未満を維持した。

bNAb投与中にウイルス抑制が維持されなかった14名の小児のうち8名は、bNAb単独療法中の最初の4週間以内に検出可能なウイルス量が認められた。ウイルス量が最も多かった小児は19~20週間を要したものの、すべての小児がART再開によりウイルス再抑制を達成した。bNAb治療はおおむね忍容性が良好であった。

Shapiro氏は、本試験は概念実証試験の1つにすぎないことを強調した。成人を対象にbNAbを治療として投与する試験は約5年間継続しており、同様の結果が認められているが、幼児を対象とした試験は今回が初めてである。

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