CROI2022CROI2022

2022年02月21日

乳児の超早期治療はHIVの寛解につながるか?
Could very early treatment for babies lead to HIV remission?

写真
Dr Deborah Persaud (top right) at CROI 2022.

CROI 2022で発表された研究によると、出生直後に抗レトロウイルス療法(ART)を受けたHIV感染児の約3分の1は、2年後にHIV抗体を持たないことが明らかになった。

2013年、「the Mississippi Baby」と呼ばれる子供が、ウイルス量が検出できないレベルにARTなしで1年以上維持していたことが報告された。この子供は出生から30時間後に治療を開始していた。このことで、いわゆる「機能的治癒」の恩恵を最初に得るのは小児かもしれないという希望が出てきた。「機能的治癒」とは、HIVが再発しない程度に抑制されていることである。しかし、この症例ではARTを中止して27か月後、少女のHIVは再び検出可能となった。

それ以来、研究者らはいわゆる治療後コントローラーである成人をより多く特定し、彼らがHIVを抑制する機序についてより多くを学んだ。

CROI 2022で、Johns Hopkins UniversityのDeborah Persaud医師は、小児の2つのコホートを対象とした試験データを発表した。1つ目は、母親のHIVが未治療であったためにHIV感染リスクが高く、出生から48時間以内に感染を確認する検査より前に、ARTを開始した小児34名が組み入れられた。2つ目のコホートは、検査済みで出生から48時間以内にARTを開始した小児20名が組み入れられた。

ARTのレジメンには、ネビラピン、ロピナビル/リトナビル、2種類のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤が含まれていた。

小児は、ウイルス量が24週時点で200未満、48週時点で20未満であった場合に、試験に参加し続けることができた。24週時点までに、1つ目のコホートの75%と2つ目のコホートの88%はウイルス量が200未満で、それぞれ48%と40%はすでにウイルス量が20未満であった。

2歳までに、1つ目のコホートの小児12名中10名と、2つ目のコホートの小児7名全員がHIVに対する抗体を失っていた。1つ目のコホートの7名と2つ目の5名では、HIVのプロウイルスDNAが検出できなかった。

これらの特徴は、治療を中止した場合、このグループ(当初の小児54名の約30%)も、治療後コントローラーになる可能性を示唆している。Persaud氏のチームは、ARTを安全に中断できるかを現在検討している。

関連サイト

本記事は日本国外の治療に関するニュースであり、本邦では承認されていない薬剤あるいは本邦とは異なる効能・効果、用法・用量で使用されている成績が含まれていますので、ご注意下さい。
記載されている医薬品のご使用にあたっては、必ず各薬剤の製品添付文書をご参照下さい。

This material is based on an original copyright publication by NAM Publications, an independent HIV information charity based in the UK. Permission for this adaptation has been granted by NAM. The original publication can be viewed at www.aidsmap.com. NAM cannot be held responsible for the accuracy of the adaptation nor the local relevance of the text.

当コンテンツは、英国を本拠地とするHIV情報の慈善団体であるNAM Publicationsの著作権に基づいて制作し、許諾を得て掲載しています。 記事原文については、www.aidsmap.comでご覧頂くことができます。なお、その情報の正確性、適用性、完全性については、NAMは一切責任を負いません。