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2022年08月01日

性交後に抗菌薬を服用するとSTIが3分の2減少-「DoxyPEP」試験の知見
Taking antibiotic after sex cuts STIs by two-thirds, ‘DoxyPEP’ study finds

写真
Professor Annie Luetkemeyer at AIDS 2022. Photo©Steve Forrest/Workers’ Photos/IAS

コンドームを使用しない性交後に服用するための抗菌薬ドキシサイクリンを同性愛および両性愛男性、ならびにトランスジェンダーの女性に提供していた米国の試験が、性感染症(STI)予防に高い有効性を示したことから、1年早く中止された。

この試験は、今週、カナダのMontrealおよびバーチャルで開催されたAIDS 2022で発表された。

DoxyPEP試験では、501名を対象に淋病、クラミジアおよび梅毒の発生率を調べた。参加者の3分の2は、性交後にドキシサイクリンを服用し(曝露後感染予防:PEP)、STIリスクが66%減少したことが明らかになった。

この試験には、SeattleとSan Franciscoにおいて、男性として生まれた17歳以上のPrEP(HIV予防のために通常用いられる薬剤)を服用しているHIV陰性者327名と、HIV陽性者174名を組み入れた。参加者は、過去1年間に3つのSTIのうち少なくとも1つを発症した者とした。

報告されたコンドームを使用しない性交件数の平均は月7件強であり、ドキシサイクリンのアドヒアランスは良好で、コンドームを使用しない性交の87%がドキシサイクリンによって防護された。

HIV陰性者における有効性は66%であった。対照群では82名にSTIが認められ、DoxyPEP群には2倍の参加者が組み入れられていたにもかかわらず、STIが認められたのは61名であった。HIV感染者における有効性は62%であった。

このような方法で抗菌薬を用いると、しばしば薬剤耐性に関する懸念が持ち上がる。ドキシサイクリンは安価で半減期が比較的長いため選ばれたが、STIの治療にはあまり用いられていない。STIの治療によく用いられるのは、テトラサイクリン系というクラスの抗菌薬である。試験参加時に診断された淋菌感染症の約20%は、テトラサイクリン系の薬剤に対して耐性を示した。DoxyPEP服用の参加者において、後天的な淋菌感染症における耐性化がほぼ倍増し、40%弱となった。この耐性率は、淋病予防におけるDoxyPEPの有用性を限定的なものにする可能性があるが、淋病の治療に用いられる薬剤は別のクラスであるため、治療に影響を及ぼすものではない。

この試験は当初2023年5月まで継続する予定であったが、2022年5月に実施された中間評価より、有効性が非常に高いため対照群の投与を継続することは非倫理的であることが明らかとなった。

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This material is based on an original copyright publication by NAM Publications, an independent HIV information charity based in the UK. Permission for this adaptation has been granted by NAM. The original publication can be viewed at www.aidsmap.com. NAM cannot be held responsible for the accuracy of the adaptation nor the local relevance of the text.

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