2022年08月03日
多剤耐性結核に対する6ヵ月間の経口治療はHIV感染者において安全かつ有効である
Oral six-month treatment for MDR-TB is safe and effective in people with HIV
世界保健機構が最近推奨した多剤耐性結核(MDR-TB)に対する全経口の治療レジメンはHIV感染者に有効かつ安全であると、AIDS2022で報告された。
過去10年間にわたり、注射薬を避け、治療期間を短縮し、毒性のある薬剤への曝露を最小限に抑えるMDR-TB治療薬を特定するために精力的な取り組みが行われてきた。
TB PRACTECAL試験は、MDR-TBに対する3種類の6ヵ月間全経口投与レジメンと、その時点で標準治療(9~24ヵ月間の経口・注射投与の治療)を受けている対照群を比較する大規模な無作為化比較試験である。試験はベラルーシ、ウズベキスタン、南アフリカで実施された。
参加者には、ベダキリン、プレトマニド、リネゾリド(BPaL)を投与した。一方の群にはBPaLを投与し、他方の群にはBPaLに加えてクロファジミンまたはモキシフロキサシンを投与した。
IAS 2021において、ZeNIX試験ではBPaLレジメンがMDR-TBの治癒にきわめて有効であることが報告された。TB PRACTECAL試験の初期結果から、BPaL+モキシフロキサシンによる転帰が最良であったことがすでに示されている。5月に、世界保健機構は、MDR-TBに対する望ましい治療としてBPaL+モキシフロキサシンの使用を推奨するガイダンスを発表した。
今回の新たな解析では、HIVに感染している153例の試験参加者(主に南アフリカ)の治療転帰に焦点が当てられた。HIV感染者は試験群間で均等に分布しており、約40%が女性で、CD4数の中央値は約300であった。
転帰不良の割合が最も低かったのはBPaL+モキシフロキサシン群であり、28%が転帰不良(死亡、治療失敗、MDR-TBの再発または追跡不能と定義)であったのに対し、標準治療群では40%であった。
最近の医療の進歩により、結核はわずか1ヵ月で治療が可能となり、ほとんどの薬剤耐性結核は4~6ヵ月で治療可能になった。しかし、会議に参加した活動家らは、最悪の感染状況の国々の多くの人々には、全経口の治療レジメンは依然として行き渡っていないと述べている。
Treatment Action Group、Partners in Health、および国境なき医師団は、公衆衛生プログラムを活性化して十分な「人材、物資、場所、システム、支援(staff、stuff、space、systems、support)」に投資し、2024年までにすべての人が新しいより短期の結核治療レジメンを受けられるように、AIDS 2022において1 / 4 / 6 x 24 campaignを開始した。
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