2022年08月04日
南アフリカの研究によると、PrEP注射薬で高い費用対効果を得るには、費用を経口PrEPよりもわずかに高い程度に抑える必要がある
Injectable PrEP can only cost a little more than oral PrEP if it is to be cost-effective, South African study finds
研究者らは、過去の研究で得られたPrEP経口薬と注射薬の効果に関する知見に基づいてモデルを作成した。
このモデルでは、経口TDF/FTCによるPrEPの薬価を現在の南アフリカの価格に基づいて設定し、その後、ジェネリックTDF/FTCの1~5倍で、CAB-LAの5つの価格レベルを設定した。これにはスタッフ時間などの提供にかかる費用も含めた。
研究者らは、人々がPrEPを継続した期間の長さ(期間)とカバー率に基づいて、さまざまなシナリオを作成した。次に、このモデルでは、さまざまなシナリオにおいて回避可能と思われるHIV感染・AIDS関連死数と、生涯にわたるHIV治療を必要とする人が減少した場合に生じる抗レトロウイルス療法の費用削減を検討した。
しかし、このような削減ができたとしても、多数の人々がPrEP注射薬を使用する場合、南アフリカの保健システムに多大なコストがかかることになる。南アフリカには規定の費用対効果の閾値はないが、延長される生存年1年につき1人当たり年間GDPの50%を閾値として用いることが多い。この数値は、現時点では年間2,545米ドルである。
南アフリカの保健システムによるベースラインのHIVへの支出は、追加のPrEPなしで、現在年間19億米ドルである。
中程度のカバー率で経口PrEPを行う場合、HIVプログラムに2%の追加費用がかかり、その結果、延長される生存年1年当たりの費用は2,309米ドルとなる。間接費を含めたCAB-LAの費用が経口PrEPと同じ(年間約80ドル)であった場合、追加的な感染や死亡が回避されることから、HIVプログラムにかかる費用は5%増加するが、最小期間での費用対効果はより高くなり、延長される生存年1年当たりの費用は1,705米ドルとなる。
CAB-LAの薬価を2倍して年間約160米ドルとし、CAB-LAが一度に数ヵ月間のみの使用と仮定すると、延長される生存年1年当たりの費用は、費用対効果の閾値をわずかに上回る2,751米ドルとなる。CAB-LAが1~2年間使用されると仮定した場合、延長生存年1年当たり3,240米ドルとなり、閾値を大幅に上回る。
間接費を考慮しない場合、CAB-LAによるPrEPの費用は、高いカバー率では注射1回当たり9米ドル(年間54米ドル)以下、中程度のカバー率では1回当たり15米ドル(年間90米ドル)以下に抑える必要がある。
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