1年にわずか6回の注射でHIVが予防可能：世界はこの高価なHIV予防手段をどのようにして普及させるのか？
Just six injections a year can prevent HIV: how will the world afford them?

注射用抗レトロウイルス薬カボテグラビルを2ヵ月に1回投与する方法は、これまで世界で見られた中で最も有効なHIV予防法である。同性愛および両性愛の男性、トランスジェンダーの女性、シスジェンダーの女性を対象に実施された2件の大規模臨床試験では、HIV予防薬連日投与群に比べて、カボテグラビル注射群はHIV感染の可能性が約80%低い という結果が得られた。

木曜日、ViiV Healthcare社は、90ヵ国でカボテグラビルのジェネリック医薬品へのアクセスが可能になるように、 医薬品特許プール（Medicines Patent Pool ）とのボランタリーライセンス契約に署名したことを発表した。

ジェネリック医薬品のサプライヤーは、約5年以内には製品を流通させる準備ができている必要がある。市場は、それに見合う十分な成長を遂げるはずである。それまでは、ViiV Healthcare社が唯一のメーカーである。

この新しいHIV予防手段の選択肢を手頃な価格にできるかどうかは、どれだけ多くのジェネリック医薬品メーカーが投資するかにかかっている－そして、そのためには、大きな市場が約束されていなければならない。

それまでの対策として、ViiV Healthcare社は、臨床試験に参加した14ヵ国に対してカボテグラビル注射剤を供給することを約束した。より多くの国への供給を増やすためには、同社は生産能力を上げなければならない。多額な投資をして生産能力を増強させるためには、Global Fund to Fight AIDS, TB and Malariaやthe US President's Emergency Plan for AIDS Relief（PEPFAR）などの大規模な援助資金供与者からの先行的なコミットメントが間違いなく必要である。

米国での公定価格は年間1人当たり22,000米ドルであるが、実際の価格は他の高所得国でもこれよりはるかに低いと考えられる。ViiV Healthcare社は、上記のライセンス対象となる90カ国に対して割引価格で提供すると発表した。複数の情報筋によると、同社は、年間1人当たり240米ドルという割引価格の可能性を検討しているという。これは、HIV予防薬のジェネリック医薬品の価格のほぼ5倍である。

UNAIDSや南アフリカのTreatment Action Campaign やHealth GAPなどの多くの支援団体は、同社に対して価格を患者1人当たり年間約60米ドルまで下げるよう公式に要求している。

Treatment Action Campaignの会長であるSibongile Tshabalala氏は、今週開催された AIDS 2022のあるセッションで、 PrEP注射剤へアクセスができないことに対して激しく抗議した数十名の一人であり、次のように述べた。「長時間作用型注射剤のPrEPは、 現状を打破する画期的なHIV予防ツールである。しかし、地域社会がカボテグラビルを入手できなければ、WHOのガイドラインに長時間作用型カボテグラビルが記載され使用が推奨されても意味がない」

最低価格は、多くの人がPrEP注射を受ける－つまり、一瞬ですむ注射を受けるために2ヵ月ごとに何百万人もの人が薬局や診療所の前に並ぶ－ということに基づいて推定されている。

問題は、世界のほとんどの人がまだ見たこともない製品の市場をどのようにして創出するのかということだ。PrEP提供機関を対象とした最近のWHOの調査では、約7割が、HIV予防注射剤が入手できていたら、HIV予防注射剤を提供していたと述べた。しかし、その存在を知っていたのは約半数のみであった。

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